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「……おし、行くか。」
靴に履き替え、そう言いながら俺が玄関のドアノブに手をかけた瞬間
『……あ』
突然、由佳里が声を上げる。
「どうした、由佳里?」
『えと、あの……お弁当』
「あ? 弁当?」
そういや今朝はもらってなかったっけか。
『……その
……作り忘れてしまったみたい……です』
「……あー」
ちょっぴしショックな俺。
でも、本当に調子が悪るいんだな由佳里。
『……すみません、兄さん』
うつむきながら謝る由佳里
「いいよ、気にすんな」
-わしゃわしゃ-
俺は何となく由佳里の頭を撫でる
『……兄さん』
「今日は購買でパンでも買えばいいじゃん、
うちの学校の購買のパンて美味いんだぜ」
『ありがとう……ございます』
小さな笑みを浮かべる由佳里。
「おうよ」
朝から沈んだ表情しか見てなかったからか、
由佳里の小さな笑顔に何だか安心した俺なのであった。
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