メロンパンとカプリスその3

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「でさ、何なん話ってのは」 とりあえず話を本筋に戻す。 『はい、今朝早くに連絡がきたのですが』 「うん」 『私の父様が交通事故に遭ったそうなんです』 「……は?」 『交差点で車に衝突されたそうで』 「……」 『……意識もないんだとか』 ……意識もねぇ、って 「……何やってんだ」 『は、はい?』 「馬鹿か!?学校になんか行ってる場合かよ! 何処だ何処なんだ!」 由佳里の肩を掴み問い詰める 『ど、何処って?』 「病院だ!何処の病院だよ!」 『え、あの、南清蓮のっ』 「南清蓮……?」 南清蓮って言えば、祖父ちゃんの屋敷があるとこか? 『に、兄さん落ちついて下さい!』 「行け」 『え……い、行けって?』 「今すぐ病院にだ行くんだ」 『何言ってるんですか? 今すぐなんて無理ですって、新幹線を使っても3時間はかかるんですよ?』 「新幹線か? 新幹線なら当日でも席とれるよな?」 『え?、えぇ』 「……だったら」 俺は制服から財布を引きずりだし由佳里に押しつける。 『え?』 「金なら結構入ってる たぶん一人なら向こうに行くまでのもろもろなんとかなるはずだ」 『え、あ、あのっ』 「行くんだよ病院に!新幹線で!」 『そんな待ってくだ……』 「待たねぇ! とにかく行け!! タクシーつかまえんぞ!」 手を握り由佳里を大通りの方へと引っ張る。 「ほら、行くぞ!」 『あ、……う、うん!』 そんなこんなで由佳里は今日は休みなのである。
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