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『あははっ、いや、あははははっ!』
依然として止まぬ甲高い笑い声。
「なんなんだよ!」
『ぷくくっ……あははっ、まったく変わらないね君は!』
止まぬ笑い声に少しばかり俺は苛立ちを覚える。
「なんでもいいから笑うのやめろ!」
『……ふぅ。
いや、これは失礼。
あまりにも予想と違ったものでね』
一呼吸してから由佳里はそう答えた。
「ったく。
それで、お父さんの容態はどうなんだ由佳里?」
こんな時に笑うなんてどうしちまったんだ。
まさか、おかしくなるほどショックなことが
いや……まさか、
そう思うと受話器を握る手がわずかに汗ばむ。
『まぁ、待て。
君は一つ勘違いをしているんだよ』
俺の焦りを感じとったのか宥めるように彼女は言う。
「勘違いって……なんだよ?」
『いいかい?
私は由佳里ではない』
「……は?」
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