246人が本棚に入れています
本棚に追加
/363ページ
「……よ、世継ぎっすか?」
『えぇ、世継ぎです』
「えと、具体的に……誰の?」
『当然、御祖父様のです』
じいちゃんの?
「ちょっと待て、
村瀬家ってのは世継ぎとかなんだとか、そんな大層な家なのか?」
そこそこ金持ちなのは知っていたが、
……知らんぞ世継ぎなんて。
『……はぁ』
また、ため息。
『本当に知らなかったですね……』
「おう」
『……はぁ』
「つか、世継ぎとかなら親父達は?
俺は孫だし、じい様の息子である親父や由佳里の親父はどうなんだよ」
『そんな事は私の知った事ではありません。
全ては御祖父様の決める事ですから』
「……いや、知った事ではありません、って」
すごく重要なトコだろ。
『とにかく世継ぎとして世継ぎらしく、
立派な世継ぎとなってもらうために、この家での生活は私が管理、監督させていただきます』
「……えぇ~」
かくして、
よくわからないままに俺は世継ぎ候補となったのだった。
最初のコメントを投稿しよう!