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ちょうど校門へ向かおうとした時、
聞き覚えのある声に呼び止められる。
『兄さん』
「あぁ、なんだ由佳里か」
『……なんだ、とは何ですか』
少しばかり不満そうな表情をする由香里。
「別にそういう意味じゃねぇって」
『そうですか』
「んで、何か用があったんじゃないのか」
『あぁ、兄さん、
これから夕飯のお買い物に行くので荷物持ちについて来てください』
……荷物持ち
……面倒だなぁ……よし、ここは、
「あら!そろそろドラマの再放送の時間だわ!帰らなくっちゃ!ごめんなさいね、由佳里さん、わたくし行かなくっちゃ!ご機嫌よう!」
ーガシッー
『なるほど、要するに暇なんですね。
ほら、さっさと行きますよ』
「……へい」
……逃げようとしたが、見事に襟を掴まれてしまった。
『まったく、何逃げようとしてるんですか。
……子供じゃあるまいし』
「行くから行くから、襟掴むのやめろって!」
『ダメです!すぐに面倒な事から逃げようとするんですから』
「いや、マジ、首とれるって、てめぇゴリラの腕力がどれだけ強いか、うぐッ!」
一気に由佳里の引っ張る力が強まる。
『誰が、
ゴリラ、
ですか?』
能面のように無表情な顔で由香里が言う。
……こ、殺されるッ。
「すみません!ごめんなさい!許しで!由佳里さん!」
『……もぉ、まったく』
そう言い由香里襟を離した。
……やっと解放されたぜ、マジ腕力ハンパねぇ
『早く行きますよ』
「へーい」
と、言う訳で由佳里と一緒に買い物に行く事となった。
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