誤解ってのは怖いもんだ

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んでもって、日の暮れ始めた放課後だっぜ。 「……なんか頭が重い」 放課後、また少し保健室で休んだが美代子の蹴りの効果は消えずじまいである、 ……つか、美代子のヤローは一度も様子を見に来なかったとさ。 噂によると美代子は元ヤンらしい(きっと、ものっそい武勇伝があるに違いねぇ……と俺は確信している) さて、頭痛に悩まされながらも帰るべく校門を越えようとした時。 『兄さん!』 「んぁ?おー由佳理か」 その近くで由佳理に声を掛けられる、どうやら俺を待っていたようだ。 『頭、大丈夫ですか?』 「大丈夫だ、妹に心配されるほど頭はおかしくない」 『違います! 怪我です、奏美さんから話を聞きました。 お弁当を食べている時、ずっと頭をおさえてたって』 ……そうだっけ? どうやら知らぬ間に俺は頭をおさえていたらしい。 「ん、あぁ、大したことねぇよ」 美代子に蹴飛されただけだし、 ……だけって、いや、まぁ、かなり痛かったけど。 『本当なんですか?無理してませんか?』 そう言って由佳理は俺の肩に手を乗せつつ背伸びをして頭の具合を調べようとする。 「ちょ、大丈夫だって」 なんだか、妙に由佳理が優しい気がする。 ……ちなみに、今ちょっとばかし可愛いなと思ったのは内緒である。 「なんだ、心配してくれてんのか?」 『別に心配なんかしてません。 ……でも、痛かったら、ちゃんと言ってください』 素直じゃないが、心配してくれるようだ。 「はいはい、ありがとさん」 『し、心配なんかしてませんから!』 「はいはい」 『本当に心配なんかしてないんですからねっ、 ほら!さっさと夕飯のお買い物に行きますよ!』 「……ぅえ~」 『ぅえー、じゃありません!』 「めんどくさいな」 『ほら、行きますよ!』 「はいはい、今行きますよ」 夕日のせいか、 帰り道隣を歩く由佳理の顔が少し赤く見えた。
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