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料理が十分に煮えるまでしばし待つ。
……
二人して無言で待つのだが、
俺は何となく、由佳里を横目で見る。
こう二人で並んでると由佳里の身体はかなり華奢だし小さい、
とても家事をするような体力や俺を引きずる力があるようには見えない。
……なんつーか、もうしわけなくなってくる、
俺は由佳里の実兄ではないけど、仮にも兄だ、
それなのに、このまま妹に頼りっぱなしでいいのだろうか……と
……ここは一つ、ちゃんと礼を言うべきなのだろうか?
いや、言うべきだ。
よし、言う……
「なぁ、由か」
と、その時、
ージリリリリ!ー
いつの間にセットしていたのか料理用のタイマーが鳴る
「おわ!!なんだ!」
『そろそろですね。
兄さん、冷蔵庫に入れてあるサラダを出しておいて下さい、
それと、お米もそろそろ炊けるはずですので、
申し訳ありませんが、兄さん、よそって下さい」
と、由佳里が言った直後、
ピーピーピーピー
と、炊飯器のタイマーまで鳴りだす、
「お、おうよ!」
由佳里は時間を計算していたのだろうか。
なんにしても俺は礼の言葉を言うタイミングを逃してしまった。
……なんと、タイミングの悪い事か。
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