ヒロの休日 二日目

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…… ……いま俺の前を三輪車に乗った女の子が通り過ぎようとしている、 ……通り過ぎるかと思いきや俺の目の前でピタッと止まり一言。 『あ!チンジャオロースさんだ!』 え?……マジか、ココ住宅街だぞ? 商店街限定と思われた呼び名が住宅街にまで浸透してるし、 これはヤバス……このままだと学校に広まるのも時間の問題だよ、こいつはヤバい。 ……と、どぉ~でもいい事を考えている俺は ただ今、訳あって家の外にいる。 その訳と言うのは、 簡単に言うと8時をすぎても寝ていた為、 お叱りの後、罰として二日連続で買い物に行かされるのであった。 正直、二日連続で買い物に行くとは、元インドア派ゲーマーである俺にとって面倒臭い事この上ないのだが、 ……んな事言った所でマウンテンゴリラ様に人間は勝てない、 お買い物に行け。 つまりそれはイコール、ミンチになるかor買い物に行くか……ということ。 当然、ミンチになりたくない俺は素直に買い物に行くしかないのであった。 ……たった数週間でマウンテンゴリラの天下とは情けない事この上ない。 ……あ、なんか涙が出てきた。 『だいじょーぶ?チンジャオロースさん?』 しゃがみ込んだ俺の背中を優しくさする女の子。 「うぅ、バナナでなんとかなると思ってた俺がバカだった」 『よしよし、いーこだからなかないの』 小さな手のひらが俺の頭を撫でる。 「泣いてなんかないし!」 女の子に慰められる高校生……情けねぇ
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