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《僕》は必死になって頭の中を見てみた。
思い出せ!!思い出すんだ。
《僕》自身なのか、それとも誰かなのかはわからないけど何かが《僕》にそう言ってる気がした。
でも――からっぽだ。
《僕》は気がついた。
「どうしたの?お兄ちゃん。頭……痛いの?」
女の子が《僕》に話しかけてくる。そもそもこの子は誰?
「お兄ちゃん、たまには家に――」
「君は誰なの?」
僕は女の子の話を遮るようにして彼女に話しかけた。
彼女は首を傾げるような仕草をした。そして僕にこう言った。
「お兄ちゃん。忘れたの?私よ。もしかして――」
女の子はそう言うと僕の元から離れて、白衣の服を着た人のところへ行った。
「……はい、そうですか。頭を特に打っていたのですか、それで――はい。ありがとうございました」
彼女と男の人の声は周りの雑音でよく聞こえなかったけど、一部だけ聞くと僕は頭を強く打っているらしい。
それにしても何なんだ。この状況は。
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