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女の子の乗せてくれた濡れタオルはとても冷たくて何だか今の俺の頭をいいぐあいに冷やしてくれてるようだった。
そして僕は一番初めからあった疑問を彼女に聞いた。
「それで、君は誰なんだい?ずっと懸命に話しかけてくれたりするけど、」
彼女は少し困った顔した。しかしすぐに顔を笑顔にして言った。
「そっかぁ……記憶がないからしょうがないよね。私はお兄ちゃんの妹だよ。」
………………
一瞬の沈黙が流れた。
「ま、まぁ記憶がないから仕方ないよね。しょぼーん。お兄ちゃん、私のことも忘れちゃったんだ。」
そう言うと女の子は泣くような仕草に入ってしまったから僕はあわててなぐさめた。
「い、いやぁ忘れて何かないよ。うん、ほら~お兄ちゃんだよ。」
女の子はすぐに笑顔に戻って、
「ちょっとトイレ行ってくるね。」
と、言って部屋から出た。
出た瞬間、僕の中から強烈な睡魔が襲ってきた。
女の子の相手によっぽど疲れたのかな。
覚えているなんて嘘だ。第一自分の名前でさえ全く記憶に残っていないのだから。
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