6.居場所はありますか?

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「ただいま」 「おう」 「何か手伝う?」 「いや……今はいいわ」  店から帰ってきた僚に、厨房の拳は嫌な顔をせず答えた。  部屋に上がった僚は、ギターを片手に居間へと降りてきて、ぼんやりと窓辺に座る。  そして、澄みきった空に浮かぶ満月を見上げながら、ギターの弦を弾いた。 『ねぇ僚――』  聞き慣れた声に居間の中に顔を向けると、洗濯物を畳み、微笑んでいる優がいた。 『あんた、いつかステージに立って、母ちゃんと父ちゃん、招待してくれるんでしょう? やっぱり武道館よね?!  ――でもまぁ、市内の公民館でも、駆けつけるからさ、ちゃんと、特等席用意するんだよ』  静かに笑みを浮かべる僚の目に、また、別の日の優が思い浮かぶ……。 .
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