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ということで善は急げ。
早くこの場から去ろう。
そう思い行動に移そうとしたとき
「兄ちゃん。 どこいこォとしてんだい?」
足を動かした瞬間、目の前に月の光で薄暗く反射するナイフ。
それを見た瞬間、びくりと心臓がはねあがり、全身が硬直する。
喉元に突きつけられ、刃特有の冷たい感触が肌に感じられる。
「動いたら、首が飛ぶぜ? テメェみてぇな平民をいくら殺しても問題ねぇんだからな」
プツリと首元に軽くナイフで切られ、傷口の熱い感覚とともに赤い液体がゆっくりと外へと流れ出す。
「…ッ!!」
ガクガクと震えだす足。
もう、体は動かない。動けない。
硬直したまま俺は恐怖に呑まれてしまった。
「そうそう…それでいいんだ、よっ!!」
盗賊が声を張り上げたと同時に後頭部に何か固い物が当たる。
「痛っ!!」
「…あるぇ?」
ガッ
「痛っ!!」
ガッ
「痛っ!!」
なんども叩くな!
ナイフの柄って硬くて痛いんだからね!
なんて思ってると
「いい加減気絶、しろっ!!」
「がっ!?」
強烈な一撃をくらい、後頭部に鈍痛を残しながら目の前がぐらりと揺れ、徐々に意識が遠くなっていくのを感じながら気絶してしまった。
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