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「…い…ら……する?」
「売る…決まっ…るだろ」
「んぅ…?」
誰かが話す声で目を覚ます。
頭を動かすと後頭部がズキリと痛み、思わず「ぃって…」と小さいながら声が出てしまった。
「な、なんだここ…? どこだ…?」
頭がパニックになりそうになるが、なんとか深呼吸をして自分を落ち着かせる。
落ち着かせた頭を回転させ、今の状況を整理してみる。
目の前には鉄柵。
鉄柵の向こう側には盗賊らしき人物が。
周りを見渡してみると、コンクリートの壁に寄りかかったりしている街の人達がいた。
…どうやらここは牢獄の中のようだ。
自分の手首には金属で出来た手錠。
…捕まったのか。
……よし、こういうときこそ落ち着け、落ち着け俺……
「ぬぁにぃぃぃぃ!!」
「うぉっ!?なんだなんだ!?」
無理だった。
パニックにならないとか無理だった。
「何コレ!? 何捕まってんの俺!? 展開が早すぎんじゃァァァ!!」
「うるせぇぇんじゃァァァ!!」
怒られた。
てかもちつけ…もちつけ俺……
「外れぬぅぇぇぇぇ!!」
「うるせェェェ!!」
何コレ硬っ!
さすが手錠とか言いたいとこだけどそれどころしゃねぇんじゃい!
ガチャガチャと手錠をつけられた両腕を暴れさせる。
と
バキン
「え」
…アレ?
手錠壊れた?
……マジすか?
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