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桜がヒラヒラと舞い散る中…2度目の初恋は、前降りも無く…奏でられていた。
今思えば多分、偶然だったんだ
偶然君と出逢って、
偶然君を好きになった。
あの日の私は臆病で、偶然と偽り嘘をついたんだ…
「あんた何か始めから友達じゃない。
大っ嫌い!!」
中学2年生の春、散り行く桜と共に私の笑顔も散った。
沢山泣いた。
沢山悔やんだ。
そんな私に訪れたのは、転校。
中学3年生になると同時に、私は新しい学校に転校した。
「柚慧っ聞いてる?」
「え?、あ…うん;」
「転校して2日目だけど、大丈夫?せっかく同じクラスになれたのにさ」
昼休み。
私は幼なじみの哉祁と一緒に話していた…まぁ、一方的に私が哉祁の話を聞いてたんだけど;
哉祁とは、幼稚園の時から親同士が仲良くて知り合った。
サバサバした性格で、頼りになる。
小学校卒業と共に引っ越して、私が転校した学校が偶々哉祁と同じ学校だった。
私にとって、かなりラッキーな事だった。
そして今、哉祁の彼氏さんの話を聞いていたんだけど…;
「ごめんね;」
「はぁ~って、あたし昼休み担任に呼び出しあったんだ;行って来る!」
哉祁は走って教室を出た。
私は何となく教室を出て、何となく屋上に来た。
前の学校は屋上立ち入り禁止だったんだけど、今の学校は良いみたいで生徒も自由に入れる。
青い空が広がる真下で、私は誰一人としていない屋上を見渡した。
すると、フェンスの外側に男子生徒が立っていた…
ん…?
フェンスの外側って…まさか、自殺?いやいや、今時屋上から飛び降り自殺ってドラマだけだよね;?
パニクりながらも私は、男子生徒に近付いた。
その時、ふわっと甘い香りが鼻を擽った…
「あの…危ないよ?」
「…。」
無視。
振り向こうともしない彼は、只フェンスの外側の狭い所に立ったまま空を見上げていた。
サラサラとした茶髪。
パッチリとした二重。
色白の綺麗な肌。
整った顔立ち。
多分、こんな人を美少年って言うのかな?
何て考えながら、男子生徒を見つめていた。
何も考えて無いような瞳で、彼は私を見た。
何もかも見透かしたような、真っ黒な瞳で…
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