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「はぁ。しつけぇ奴らだったな。」
朱希菜は身を隠した場所から出ると、追手が向かった反対の方へと走りだした。
「このまま、次の地域に行ってみよーっと。」
そう言った矢先……
「「見つけたぞ!!朱希菜。」」
「げっ。」
追手は朱希菜を見つけ、朱希菜を囲んだ。
「やっばー。」
五人の男性に囲まれた少女が抜け出せる訳もなく、朱希菜は悩んでしまった。
「大人しく帰って貰おうか。朱希菜。」
「やなこった!!」
強がって答えはするものの抜け出せる算段もなく、朱希菜は思考を巡らせる。
こんなに堂々と追いかけられているものの誰も助けてはくれない。
それもその筈。
朱希菜を追いかけているのは闇契国の王子の使者だったからである。
結局、朱希菜は腕を捕まれ城へと向かう車に押し込められた。
「うわっ。ちょっ。下ろせ!!」
後頭座席の真ん中に座らされ、両隣に追手が座り、真ん中の座席に二人、助手席に一人乗り込むと車が走り出した。
「だから、下ろせって!!」
「静かにしろ!!」
相変わらず騒ぐ朱希菜に追手の一人が一喝する。
ビクッ
その声に朱希菜は体をビクつかせると、黙った。
(どう逃げよう……?)
「着きました。」
そうこう考えている内に、助手席に座る人の能力、瞬間移動で城に着いてしまった。
(やばー。どうしよ…。)
朱希菜の気持ちとは裏腹に両腕を捕まれ、王子への謁見の間に連れていかれた。
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