第1話

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謁見の間では、王子が座っていた。 「お帰り。朱希菜。」 にこやかに朱希菜に声をかける王子。 しかし、その目は恐ろしく冷たかった。 「帰ってきたくなかったよ!!」 そんな王子に臆する様子もなく、言い返す朱希菜。 「そうか。でも、出す気もないから。規矩(キク)、朱希菜を拘束しろ。」 王子に命令された規矩は、能力の束縛を使って朱希菜を動けなくさせた。 (くそっ。厄介だな。) 王子は朱希菜が動けなくなったのを見計らって、朱希菜に近づいた。 朱希菜の頬を撫でながら王子は言う。 「朱希菜…もう逃がさないから。」 それは冷たい冷たい声で。 悪寒が朱希菜を襲う。 「居たくねぇよ。こんな場所!!」 それでも、その悪寒を誤魔化すように朱希菜は王子に言い返す。 そんな朱希菜の様子に王子はにこやかに笑うと、朱希菜を抱えて自室へと連れていく。 「離せ。離せって!!」 そう言うも、王子は知らんぷりで自室に連れ込んだ。 そしてベッドに朱希菜を寝かせると、手を頭の上で縛り固定した。 「これで逃げられないだろ?」
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