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謁見の間では、王子が座っていた。
「お帰り。朱希菜。」
にこやかに朱希菜に声をかける王子。
しかし、その目は恐ろしく冷たかった。
「帰ってきたくなかったよ!!」
そんな王子に臆する様子もなく、言い返す朱希菜。
「そうか。でも、出す気もないから。規矩(キク)、朱希菜を拘束しろ。」
王子に命令された規矩は、能力の束縛を使って朱希菜を動けなくさせた。
(くそっ。厄介だな。)
王子は朱希菜が動けなくなったのを見計らって、朱希菜に近づいた。
朱希菜の頬を撫でながら王子は言う。
「朱希菜…もう逃がさないから。」
それは冷たい冷たい声で。
悪寒が朱希菜を襲う。
「居たくねぇよ。こんな場所!!」
それでも、その悪寒を誤魔化すように朱希菜は王子に言い返す。
そんな朱希菜の様子に王子はにこやかに笑うと、朱希菜を抱えて自室へと連れていく。
「離せ。離せって!!」
そう言うも、王子は知らんぷりで自室に連れ込んだ。
そしてベッドに朱希菜を寝かせると、手を頭の上で縛り固定した。
「これで逃げられないだろ?」
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