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「ん?あれか?」
息を軽く切らせながら、朱希菜は光輝国の門の所まで来た。
(これ、どう入るんだ?)
「誰だ!!貴様、闇契国の者か!?」
迷っている朱希菜にかけられた声は、明らかに朱希菜を警戒したものだった。
それは、闇契国は昔から光輝国を自分たちの支配下にいれようと何度も武装しては光輝国を攻めているせいであった。
「いや、俺は……」
「その子は俺の双子の妹だよ。」
今しがた逃げてきたとはいえ、闇契国の者かと聞かれればその通りである朱希菜は返答に困ってしまった。
そんなとき、門番の近くから少年が出て声をかけた。
「はっ。すみません!!失礼しました!!」
その少年に門番は改まった様子で答える。
「そんなに畏まらなくて良いよ。俺は偉くないから。」
そう答えるのは見覚えのある少年。
朱希菜は自然と笑顔になるのが分かった。
「朱希菜。久しぶり。」
そう言って差し出す手は昔と同じ優しいものだった。
「ただいま。雪夜。」
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