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「雪夜と……どちら様かしら?」
中にいたのは、可愛らしい顔立ちをした少女だった。
(姫様らしいよな?綺麗な声だし、可愛いし、言葉遣いも丁寧だし。何処が姫様らしくないんだ?)
朱希菜は姫を凝視しながら、雪夜の言っていた言葉と比べていた。
「俺の双子の妹、朱希菜ですよ。朱希菜、彼方がこの国の姫、紅緋(コウヒ)様だよ。」
「あ、始めまして。」
雪夜に紹介され、それまで姫、紅緋に見とれていた朱希菜は慌てて挨拶をした。
「朱希菜、畏まらなくて良いからね。姫様の本当の性格はこんな大人しくないから。」
「え!?そうなのか!?」
雪夜の言葉に朱希菜は驚き、紅緋を見た。
紅緋は相変わらず笑っていた。いや、笑ったまま固まっていた。
「雪夜。何を勝手にばらしてるのかな?良いじゃねぇか!!ばらさなくて。たくっ。誰も気づいてねぇんだからさー。」
そして口を開いた紅緋の言葉は先程までの綺麗な通る声ではなく、活発で低めの声にかわり、言葉遣いも悪くなっていた。
「これが姫の地だからね。」
そんな紅緋に気にした風もなく、雪夜は朱希菜に笑いかけていた。
「あーもー。雪夜は此方の話を聞け!!あ、朱希菜だっけ?光輝国にようこそ。敬語なしで呼び捨てで構わないよ。と言うか、ホントに似てるよなー。あ、朱希菜。髪染めねぇ?」
話が纏まらず話続けていた紅緋は急に思い付いたように、朱希菜に髪を染めることを勧めた。
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