1人が本棚に入れています
本棚に追加
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい……私が行けば終わる?兄ちゃん、死なない?」
僅か4歳程の少女は目の前の10程上だろう少年に謝り続けている。
それは見ていたら痛々しいほど。
少年は少女に向かって頷くと、少女に手を差し出した。
「おいで。朱希菜(アキナ)。」
少女、朱希菜は恐る恐るその手に自分の手を伸ばした。
「ごめんなさい。ごめんなさい。兄ちゃん…ごめんなさい…」
少女の隣には横たわる少年。
その少年は少女と同じ年の双子の兄のようだった。
同じ顔のその少年は背中から血を流し倒れている。
まだ息がある少年は少女に向かって呟くように言う。
「行くな…朱希、菜…行っちゃ……ダ、メだ。」
「大丈夫だよ。いつかまた会おうね。兄ちゃん……雪夜(ユキヤ)。」
最初のコメントを投稿しよう!