出会う

12/12
前へ
/56ページ
次へ
悲しそうだった。 壬生狼なんて言われて 本当はつらいんだろう。 でも何で 俺はこんなに 彼らのことが 気になるんだ? ───助けてあげたい。 自分で 助けになるのか? そこまでする必要は? この時。 彼は気付いていなかった。 自分が 彼らを“仲間”として 求めていること─── 彼らが“春”と同じ 存在に成りえることを───。 『痛っ』 不注意で、 刀で指先を軽く切ってしまった。 血が出てくる。 ───しょうがない。 明日は、屯所に行ってみるか。 そう考えると 櫂は傷口に 布を軽く巻き 黒宗、白宗をしまって 眠りに就いた。     
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

111人が本棚に入れています
本棚に追加