3人が本棚に入れています
本棚に追加
名を呼ぶ声に、君が振り向く。艶やかな黒髪が煌めき、端正な顔立ちに柔らかな笑顔が映えている。
優美な手を翳し、「おいで」と優しい声で囁く君は、目映い程に綺麗だった。
そっと歩み寄り、まるで壊れ物に触れるかのように抱き締めると、君は腕を回して抱き返してくれた。
ふわり、と甘い香りが鼻をくすぐる。安心にも似た温もりを感じ、一筋の涙が頬を伝った。
――君の温かな腕の中にいる時、僕は至福の安らぎを感じられるんだ。
心の中で、漠然と呟いた。
傍らで揺れる黒髪に、いつしか心が踊っていた。
最初のコメントを投稿しよう!