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空が赤々と燃えていた。陽炎のように揺らめく、不吉な緋色。紅蓮が荒ぶる波のように、木々を飲み込み続けている。遠くでは鳥の喚きが止まず、喧騒が森を取り巻いていた。
そんな終末を迎えた森の一部、たった二つ、彫刻のように佇む人影があった。
正体は、死んだように眠る女性とそれを抱えた青年だった。二人は血のように赤い無数の野バラに包まれ、何をするでも無く座っていた。そこには、切り離された世界が在った。
熱気が近づいてくると、青年は悲哀の籠った目で女性を見つめ、愛しそうに頬を撫でた。
「君と共に……」
溢れる思いを口にして、しっかりと女性を抱き締め直す。
二度と叶う事の無い恋慕の情。
それはやがて、野バラと共に焼き尽くされていった。
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