718人が本棚に入れています
本棚に追加
~鉄の国~全ての始まり
風が少し強い昼下がりの午後、俺は久しぶりに見る空をみながら昼寝をしようとしていた。
目を閉じて寝始めると頭は方から“古びた鉄のドア”の開く音と“誰かの足音”が聞こえた。
「やっぱりココか……お~い起きてるか~?」
足音の主は頭の真上から話しかけているらしい……ひさしぶりに聞くけど、たぶん“アイツ”の声だ。
「うぅ~ん、起きて無い………」
「お~い、ひさしぶりに“親友”に会って、そのリアクションは無いだろ?」
「…………スゥ~……」
「って寝るなよ!」
自称「親友」が一気に大声を上げた!
「うるさい!」
「なぜキレられなけりょならん!
しかも逆ギレですよね、完全に!」
「・・・よっ、と」
さすがに寝るのをやめて起き上がって、さっきまで真上にいた「アイツ」と目を合わせた。
「ひさしぶりだな、トーマ」
“トーマ・パウティン”、同い年の自称「親友」であり悪友、そして俺の親父、ジャンク屋クラッツェの店長“シド・クラッツェ”の三番目の弟子だ。
「あぁ! ひさしぶりユウタ!」
「呼び捨てにするな!」
「なんでだよ!!……んにしても屋根に居るとわね……ガツさんが、お前を見掛けてなかったら絶対に見つかんないよ?
まぁ、そう言うとこは、お前らしいけどね」
「お前達に会う前にココで昼寝したかったからな」
ココはアラスタシア地方、“鉄の国”の商業街の中心部にある“ジャンク屋クラッツェ”の屋根、もとい“俺の家の屋根”だ。
日当たり風当たりが良くて、昔からトーマとかとココで昼寝をしたりしていた。
「お前に会うのって3年ぶり……だっけ?
随分、長い間居なかったね」
「・・・もう、そんなになるんだな」
トーマの言う3年間は俺にとっては3年なんか、俺の夢を叶えるには本当に短かった。
そう、アレは8年前だった。
最初のコメントを投稿しよう!