~鉄の国~全ての始まり

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~鉄の国~全ての始まり

 風が少し強い昼下がりの午後、俺は久しぶりに見る空をみながら昼寝をしようとしていた。  目を閉じて寝始めると頭は方から“古びた鉄のドア”の開く音と“誰かの足音”が聞こえた。 「やっぱりココか……お~い起きてるか~?」  足音の主は頭の真上から話しかけているらしい……ひさしぶりに聞くけど、たぶん“アイツ”の声だ。 「うぅ~ん、起きて無い………」 「お~い、ひさしぶりに“親友”に会って、そのリアクションは無いだろ?」 「…………スゥ~……」 「って寝るなよ!」  自称「親友」が一気に大声を上げた! 「うるさい!」 「なぜキレられなけりょならん!  しかも逆ギレですよね、完全に!」 「・・・よっ、と」  さすがに寝るのをやめて起き上がって、さっきまで真上にいた「アイツ」と目を合わせた。 「ひさしぶりだな、トーマ」  “トーマ・パウティン”、同い年の自称「親友」であり悪友、そして俺の親父、ジャンク屋クラッツェの店長“シド・クラッツェ”の三番目の弟子だ。 「あぁ! ひさしぶりユウタ!」 「呼び捨てにするな!」 「なんでだよ!!……んにしても屋根に居るとわね……ガツさんが、お前を見掛けてなかったら絶対に見つかんないよ?  まぁ、そう言うとこは、お前らしいけどね」 「お前達に会う前にココで昼寝したかったからな」  ココはアラスタシア地方、“鉄の国”の商業街の中心部にある“ジャンク屋クラッツェ”の屋根、もとい“俺の家の屋根”だ。  日当たり風当たりが良くて、昔からトーマとかとココで昼寝をしたりしていた。 「お前に会うのって3年ぶり……だっけ?  随分、長い間居なかったね」 「・・・もう、そんなになるんだな」  トーマの言う3年間は俺にとっては3年なんか、俺の夢を叶えるには本当に短かった。  そう、アレは8年前だった。
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