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初勝利
桃園の誓いをたてた翌日、劉備達は官軍に志願した。およそ五十の義勇軍に官軍は嘲笑ったが、猫の手でも借りたい官軍だ。直ぐに軍を派遣した。
軍行中、劉備達は志願兵を募りながら歩き、義勇軍は百人程になった。すると、先行していた部隊が報告に来た。
「劉備様、この先に馬商人がおりました。」
「よし、馬を買おう。」
「俺に任せてくれ」
「張飛、略奪はするなよ」
張飛は一人で商人のところへ向かった。
馬商人は張飛をみて驚いた。しかし、
「商人殿、馬を売っていただきたいのだが、金がない。」
「それならば、全てを差し上げましょう」
「へ?」張飛は唖然とした。
「無料で差し上げます。と申しているのです。」
「ありがたい話だが、兄者に会っていただけますか?」
張飛は馬商人を劉備の元へ連れてきた。
「張飛様にはただで馬を提供すると言いましたら、逆に怪しまれてしまったようですね。」
「そなたも商売を生業としているのでしたら、ただで提供するのは自殺行為でしょう。」
「確かにそうかもしれませんが、このまま行商をしていても、黄巾族に襲われるのは分かりきっております。でしたら、志しを持ち、乱を鎮めて下さる方々に提供したほうが私どもも嬉しいのです。」
「それでしたら、是非頂きたい」
「軍の身なりを見てもお金持ち無いようですね。我々の金をお持ちください。」
「誠に感謝申し上げます。」
「しかし、その見返りとして、乱を鎮め、天下を平定してください。代金はその時まで付けておきます。」
そう言うと、馬商人は去っていった。
馬商人に貰った金で武具を揃え、兵糧を買い行軍を続けた。
劉備は派遣された地は朱雋と言う将軍が戦っていた。しかし、黄巾の軍勢の方が多く、苦戦を強いられていた。
劉備は朱雋の所に着くと
「義勇軍が参りました」
と挨拶した。しかし、反応は冷たく、あしらわれてしまった。そして、百人の兵で先鋒を勤めることとなった。
敵大将は馬元義と言う。敵陣の正面に構え対陣した。
しかし、馬元義はなかなか出陣せず、見合いを続けていた。痺れを切らした朱雋が劉備に退陣を命令し、朱雋が自ら先鋒を勤めた。全く動かなかった馬元義はうって変わって、出陣してきた。
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