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私立光ヶ丘第一高等学校。
有名な進学校であり、偏差値もかなり高いのでも名前が通っている。
塾なんかでもよく合格者数と学校名が張り出されていた。
しかし、その影に隠れるように存在する学校があった。
それが私立光ヶ丘第二高等学校。
別名変態第二高。
男女問わず変態達が戯れる楽園……。そんな中、一人だけ勘違いで入学してしまった男がいた。
「最悪だ…ここには教師も含めて真人間は居ないのか!?」
自分の下駄箱を開けて、春夏秋冬真守(ひととせまもる)はため息を吐いた。
下駄箱の中には大量の手紙が、上履きが窒息死するほどギッシリと入っていた。
それが開けた事によって雪崩のように流れ出し、地面に散らばる。
季節はもう七月の始めに差し掛かっていたが、入学以来こんな事が度々起きていた。
ちなみにこれらはラブレターなんていう甘い物ではない。
むしろラブレターの対義語として存在していてもおかしくないものである。
"果たし状"
図太い文字で書かれているそれを見て、再びため息を吐いた。
「何故…何故に俺なんだ!? もっと他にもいるだろうに…」
事の発端を思い出そうと、頭を高速回転させ、入学当初まで遡った。
(多分…あれが原因だよな~)
「やぁ、君は他とは雰囲気が違うね。一体どんな能力者だい?」
「…はい?」
入学式を終えて、案内された教室で席に着いている時だった。
黒縁眼鏡を掛けた優等生風の生徒に突然話しかけられた。
「隠しても無駄だよ…この魔眼殺しの眼鏡を掛けていても分かる。君は大きすぎる特異な能力に悩まされている、違うかい?」
「はい違います」
もはや理解の範疇のはるか上空を行く会話に、真守は全くついて行けなかった。
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