2人が本棚に入れています
本棚に追加
───和美の隣にさゆりが座るさゆりは周囲を見渡す。
「あっれぇ~。千佳は?」
「さっき、パドックの南側にいたぜ」
和美は競馬新聞を眺めながら、右手でパドックの方を指差す。
すると、パドックの最前列に茶髪のロングヘアーで、携帯片手に馬の写真を撮っている女がいる。
「あっ…いたいた」
と、さゆりがいうと
「なぁ。いただろ」
と和美がそっけなく言う。
「ねぇねぇ和美これなんだか分かる?」
和美は競馬新聞に夢中で話を聞いていない。
「もぅいい!折角、人がハズレ馬券集めたの、みせてあげてるのに」
さゆりは怒る。
さゆりはハズレ馬券を集めるのが、趣味のひとつである。
これもまた、競馬の楽しみ方のひとつでもある。
「そんなハズレ馬券集めたって、飯の足しにもなりやしねーのに。バッカジャネェーノ」
和美が素っ気無くそういうと、さゆりは、泣きそうな表情を浮かべている。
そしてこういう。
「和美がねぇ~あたしの事、バカとかいうのぉ~」
さゆりは千佳に言いつけに行く。
最初のコメントを投稿しよう!