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「レテシエはリフィルの両親がつけた名か」
「いい響きでしょう」
問うべき事柄はもっと他にあったが、フォルンは真実の意義を確かめた。
リフィルが思い出せない本当の名前はレテシエだったのだ。
「話は終わったか」
少女は不服そうな顔をして「あと少しだけ」とヴァイに言った。
「もっと貴方とはお話したかったのに残念。よければ、怪我を治して差し上げましょうか」
少年は首を振る。
「俺より校長を治して欲しい」
「分かった。レテシエを大切に思う貴方からの頼みだもの」
「お前、名前は?」
少女の声で愛らしく笑い答えた。
「名前なんてないわ。仮につけるなら、彼女の瞳が好きだからルビーっていうのはどうかしら」
名前をつけといてルビーは他人事みたいに聞いた。リフィルの一部である彼女は人間の知恵では解明不可能な存在なのだろう。
楽しげなルビーはヴァイに目も呉れず、片方の足で交互に跳びながら進む。優雅に振り返った。
フォルンだけに微笑む。
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