Rule2. 太陽に、うそをつく

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    「せんぱ……」 「はい、千明先輩ですよ」  どうしてそんなに悲しそうなんですか?  そう言いたかったのに、 「なに? 俺の可愛い後輩ちゃん」  殺人級の笑顔に、まんまとごまかされてしまった。 「……なんでもないです。ジュース、買いに行きましょうか」  ** **   わたしの好きなひとは、人気者だ。それはずっと前から知っている。  男女問わず慕われて、その中心にいるのがとてもよく似合うと思う。  フェンスの向こうから黄色い声を上げるギャラリーにだって愛想よく手を振り、時にはリクエストに応えてリフティングまで披露してしまう先輩。  自分から声をかけることなんて出来なかったわたしは、いつも同じ気持ちを抱いた女の子達に埋もれてそれを見ていた。  ほら、今も。  ネーム入りのトレーニングウェアに身を包んだ千明先輩は、四人組の女の子に囲まれて身振り手振りを交えながら、楽しそうに会話している。  もちろん、その様子を講義室の窓から眺めているわたしには、それがどういった内容の話なのかまではわからない。  もしかしたら、 『おい! 熱くなれよ! なんで諦めるんだ! はい、死んだ! 今キミの弱気死んだ! ファイヤーだよファイヤー!』  かもしれないし、 『だと、思っただろ? ところがどっこい、このミラクルサポーターがあれば……ごらん! 歩きながらトレーニングができるってわけさ!』  かもしれない。  はたまた 『なぁ……俺たちみたいなちっぽけな存在でも、地球のために何かできることがあるよな』  とかだったり?    
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