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ギリシャ神話のイカロスは、太陽に近付きすぎて羽根を溶かしてしまった。
それならば、金色の太陽の秘密を知ってしまったわたしは、一体どうなるんだろう。
先輩は、あのひとに恋をしている。
"友達の彼女”
どんなに想っても報われない、永遠の片想い。
「……な、陽菜っ!」
「ひゃいぃっ!」
耳をつんざくような大声で我に返ると、自室のベッドで横になっていたわたしの顔の上に、逆さまの恭平の顔。
珍しい。今日はお家にずっと居るんだ。
「……恭ちゃん。なぜ、お姉ちゃんの部屋に勝手に入ってきているのかな?」
曲がりなりにも、ここは乙女の部屋なのに。
ノックぐらいしようよ。……いや、さっきみたいに自分の世界に入っちゃうと、ノックしても気付かないから別にいいのか?
「誰がお姉ちゃんだ、陽菜のクセに。てめぇ生意気だぞ」
ななななんてお口が悪いの。
○○のクセに生意気、なんてどこぞの剛田武さんしか言わないよ!
「いや、だってお姉ちゃんなんだから仕方ないでしょ。で、何の用? わたし、こう見えても忙しいんだけど」
自分の世界に浸る事に、だけど。
わたしにだって、色々と考えることくらいあるんだから。
ザ・部屋着といわんばかりの、グレーのスウェットとTシャツ姿の恭平は、いつもはうざったくおろしている前髪をカチューシャであげておでこを全開にしている。
「寝てたくせに何言ってんだ。晩飯だから呼びにきてやったのに」
すっぴんで(男の子だから当たり前だけど)おでこ全開なのに、可愛いってずるい。
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