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  「……バカはアンタ」 自分でもわかるぐらいの低い声に、理玖が徐に振り返る。 勿論、紙袋で顔は見えないが。 ゆる巻きの子は、怪訝な顔を覗かせた。 「は?なんて?」 「バカは、アンタっつったの。 誰かもわかってないくせに」 彼女を睨みつけて言うと、理玖の頭に手を伸ばし、紙袋の端を掴んで思いっ切り引っ張った。 「……っわ!」 顔をバラされた途端、勢いよく地面にしゃがみ込んで、両腕で顔全体を覆う。 「バカ理玖、隠すな」 ――パシン。 後頭部をはたいた時の、小気味よい音。 「……」 チラリ、と私を見る理玖は、少し困ったような表情をしていた。  
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