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「形勢逆転だね?あかり」
理玖の低く掠れた声を聞き、目を徐に開けた。
「……り、く?」
眼前に理玖が居るのは、さきほどと何も変わってはいない。
変わったのは位置だ。
それと、……多分、立場。
「確かに俺はドM。
だけど、そうでもないってこと、あかりに教えてあげる」
そう言った理玖は、いつもの理玖とはまるで別人の顔をしていて、
「……」
ゴクリ、と私の喉がなった。
左に流れている少し長めの前髪の向こうで、いつもは大きい目が細まり、口元も小さく笑っている。
不敵。
今の彼にはその言葉が当てはまる。
見たことのない、笑み。
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