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「餓鬼、名前は」
突然妖怪はそんな事を聞いて来た。
「お前こそ、なんて名前なんだよ」
そうタクは聞き返した。
「名前など捨てた。呼びたいように呼ぶがいい」
「……タクだよ」
「そうか」
一拍置き、妖怪は続けた。
「いいかタク、忘れるな。アヤカシは人を殺めようと殺めている訳ではない。ただ自らの生を全うしながら、周りに影響を残しているだけなのだ。だからこそ、アヤカシには怒るな、そして恐れるな。ただ身近にいる隣人だと思え。アヤカシという存在は、決して大きな存在ではない。絶やすのではなく、共に生きる事を考えろ」
タクは妖怪の言葉に、しっかりと頷いた。
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