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緑が映え、薄雲を纏って聳える山々。その山の奥に、小さな集落があった。山には桑の実が成る梅雨明けの季節。
雨上がりの山に、一人の男が居た。
「ん?」
山腹で、薪を背負った麻の野良着の年半ば程の男が、道に光る何かを見つけた。
雨水でも貯まっているのだろうか? それにしては光が強い。
そう思いながら男は被った笠を持ち上げ、山道へと目を凝らす。
すると、そこには光り輝く小石が転がっていた。
男はそれを手に取り、木々を通す陽に掲げる。
その石は山で見る湧き水のように透き通っており、陽に晒すと内部が万華鏡のような多彩な色で輝いていた。
「こいつぁすげぇ!」
男は意気揚々と、跳ねるように山道を降りて行った。
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