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「おい!」
日が暮れ、月が頭上に現れた頃、妖怪は再びタクの家へとやって来た。
しかし、玄関の戸は開きっぱなしで、家には藁で編んだ草履がそのままあった。
「おい餓鬼! どこに居る!!」
物々しい雰囲気を感じ取り、妖怪は声を上げた。
近所の人間が声に気が付き、勝手口を少し開けて伺っているのを妖怪は悟っていた。
「どこに居る!!」
それを理解しながらも、妖怪は声を上げ続けていた。
それ程の一大事だった。
声に反応しないタクを探し、家の裏へと回る。
しかし、家の裏へ回ってすぐだった。
目の前の光景に、妖怪は思わず呼吸を止め、息を呑んだ。
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