憑く光

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 それから数日。  七色に光る石の話を聞きつけ、集落の人々が石を見にキスケの家を訪れた。  その石を見る皆は声を揃えて驚いていた。  だが驚く中で、一人がこんな声を上げた。 「それ、本当に金剛石か?」  一人の若い男が、キスケに聞いた。 「何言ってんだ!こんだけ光ってりゃ金剛石に間違いねえよ!」 「ならお前さん、本物の金剛石ってのをみた事があんのかい?」 「ねぇけど、俺ぁこんな光る石見たことねぇよ。金剛石に違いねぇ!」 「なら見せてみろよ!俺が鑑定してやらぁ」 「ばーか!その手に乗るかっての!」  わっと皆が笑いを上げる。  そんな影でタクは一人、それを快くは思っていなかった。  キスケはあの石を見つけてから、少し変だった。  最近は自室に籠もったきりで一日中あの石に夢中なのだ。  いつもは仕事熱心で、その仕事に見合わない程の大飯喰らいなのに、その飯を忘れる程あの石に魅入ってしまっていた。  こんな時に母さんが居てくれたら……。  そんな思いがタクの脳裏をよぎるが、そんな思いは振り払った。  タクの母は、去年の大雨の時に土砂崩れに巻き込まれ、死んでしまっていた。
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