寝癖を直さない教授との対話のこと

5/10
前へ
/15ページ
次へ
が殺されてから15年の月日が流れた。       僕は法に疎いんだが、確か殺人の時効はそれくらいだったろう。   その時ね、Aが喜ぼうが、悲しもうが、逃亡生活を繰り返させたという点で、人間が規定したものにAは従い生き続けるを余儀なくされたんだよ。      これは分かるよね。   そう見れば人から生まれ、人に育てられ、人の世で生きているすべての人類にとって人の規定から自由であることはできないんだな。   法や、道徳から全く自由に人を殺す者がいたとして、それはもう    人間ではない。    そういうモノを、人とはよばない。    それを古来から鬼とよぶんだよ。    冥界のミノスもそんなモノの、処断にはこまってしまうだろうなぁ。  神曲だよ。読んだかい?」 私「。。いえ。」 教「おほ、偉大な古典は若いうちに、できるだけたくさん読みなさい。    君のためになる。」 私「。。」 教「うん、話がそれたな。    うん。ルールの話。    我々はねぇ、法律のように日々変更され改正されていくような   不確かなものでなく、   そして、鬼のようなコード外の存在すらも許さないもっと厳然 たる規定に沿って生きてい
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加