寝癖を直さない教授との対話のこと

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とすると、なにを問うたらいいかまごついた。  それまで、まじめに授業を受けていたわけではない。  口を開けば、勉強不足が露呈するだろう。  それは大変失礼だ。。。  そう思うと、なおさら気が引けたが、愚かにも当時の私は意を決した。  今思うと私の人生の分岐点はあそこだったのだ。  真言は常にささやかな空間としてあるのだ。  そして、その門の材質は空疎で凡庸。恐れるべきはいつも門の中身。  以下はその時の会話。 私「暗黒物質とはなんですか?」 教「わからない。分かっているのはそれが存在すると言うことだけ だ。」 私「存在するということだけ。。観念のみがあるということでしょうか?」 教「君ね、それはあまりにも人間本意だよ。 殊に宇宙科学という分野においては、それは遠ざけるべき類のも  のだ。」 私「九割を占めるとは、宇宙全体のということでしょうか?」 教「そう。少なくとも今我々がある宇宙における全体。   数多の星々。   それを内包するまた、数多の銀河。   そして、僕たちをも含む。全体とはそういうことだよ。」  私「我々をも含んだ全体。。。」 教「少し飛躍するようだがね。      
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