寝癖を直さない教授との対話のこと

4/10
前へ
/15ページ
次へ
    僕たちが生きるためにはルールがあるね。   法律や、政治、慣習や、道徳。   人間が規定したものだが。   すくなくとも、現代人はそれらに従いまた管理されて生きている。   あらゆる人類がだ。   たとえば犯罪を犯して法を破ったものも、刑に服しても、司直の手から逃げおおせたとしても、その者が我らの社会線上に存在すれば、犯罪者という定義付けから逃れることはない。」 私「。。」 教「わからないかな?       名前も顔も分からない者が、君の隣人を殺したとしよう。   仮に犯人をAとすればね、君は誰だか分からないAを殺人者として認識する。     つまりその時、法に即して君は、Aを断罪したんだ。   罰がくだろうと下るまいと、また、Aが誰か判明しようとしまいと。   君は人の規定に縛られてAを犯罪者として認識させられたんだよ。       視点を変えてみようか。   慣習や、道徳の類、人が人であるために作ってきた規定の一切 がこの世になくて、果たして、君はAを犯罪者として認識できただろうか。       ここまではわかるかな?   続けるよ。」 教「さて、Aの話。   Aは逃げおおせた。   君の隣人
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加