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『どうしたのよっこチャン?大丈夫?』 よっこチャンからはなにも返ってこない そしてよっこチャンは なにもなかったかのように自分の席に座った 次にはいってきたのは 中田君 眼鏡をかけていておとなしく よく一人でいた子だ 中田君にも話しかけるが よっこチャン同様 なにもかえってこないまま自分の席に座った その繰り返しで いつの間にかクラスには当時のメンバーが席についていた 最後に先生が入ってきた 「皆座ったか?」 ようやく自分以外の口が開いた そのことに 私は喜びで先生のいる教卓までいくが 無表情な先生と目があい ただ先生からは「皆座ったか?」の言葉しか喋らない 足が止まり汗が滲み落ちた こんなの嫌だ 怖い 逃げだそうとドアを開けてみるが 内側からは開かない 仕方なく教室に再び目をやると クラスメイトと先生 全員がこちらに目をむけている 先生からはあの言葉が永遠と繰り返されている また恐怖で足が動かなくなる これは指示に従わないかぎり進まないものなのかと思い 重たい体を動かし 席についた 先生の言葉もようやくやんだ すると 教室の左端上にある 学校放送用でしか使われないテレビがついた ずっと砂嵐が流れ 不快に感じた パッと画面が映り 自分たちの教室が 映し出された どこかにカメラがあるのか? リアルタイムの映像か気になり手をふる するとテレビ画面の自分が手をふる 今のこの教室の映像なんだと認識した カメラを探そうと思い席を立つと またあの先生の言葉と皆の視線が集まる 仕方なく 席に座りながら辺りを見渡す 『………あれ?』 ふと先程と違う違和感を感じた  
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