はじまり

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俺は病室の前に立っていた。 あの少女の病室だ。 葬式は終わった。 みんな、泣いていた。 翼の母親は俺を責めた。 俺の胸を叩いて、俺の胸で泣き崩れた。 翼の父親がそんな彼女を抱きしめて、慰めていた。 泣きながら。俺に謝りながら。 俺と翼のクラスメイトも駆けつけた。 みんなして、俺を慰めていた。 泣きながら。ずっと、ずっと。 俺は泣けなかった。 まるで世界と俺の間にガラスがあるかのようで、ガラスを通して世界を見ているようで。 ずっと、ずっと、他人事のように感じていた。 扉をノックをする。 固い音が鳴り、俺は返事を待った。 「どうぞぉ~」 幼い、明るい声だった。
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