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朝日が教室に差し込み、クリーム色のカーテンがふわりと浮き上がった。
武富士高校、クラス11の教室ではいつものようにホームルームが始まろうとしていた。
しかし、奇妙な違和感がクラスを包んでいた。
「皆大変な事になってもたなぁ…ほんでもモゴモゴ」
教卓に立つのは、皆のモアイことお馴染みミズカツ先生。
今日も彼は色黒で輝いている。
ただ、今日の彼は少しフレッシュだ。
肌も若々しく、潤っている。
どこからどうみても好青年だ。
更に冗談としか思えないのは、自分の背丈より高い机に着いている幼児達だ。
そう、先日のテロに巻き込まれた彼等は、無理矢理小さくされてしまったのだ。
実験が途中で止められたせいで、各々体の若さには個人差がある。
幼児から中学生くらいの背丈の生徒もいる。
教卓から眺めた景色はここが高校だとは思えない異様な光景だった。
「我々を小さくした転生人が捕まり次第、皆を元に戻させるから、それまで大変やけど辛抱してや。」
若者の声の先生は珍しくはっきりした口調だ。
彼の真剣さが伝わってきた。
昨日、意識が戻った皆に、コウヤは嘘をついた。
自分の体を見てパニックになる彼等にした説明はこうだ。
転生人の襲撃を受け、彼等の能力で体を小さくされた、と。
これは皆が高校生活を続けられるために、とっさにコウヤが働かせた機転だ。
転生させられたと気付かれたならば、高校生活はおろか、社会でも生きられない。
とにかく、こうして奇妙なクラスが出来上がった。
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