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「それと、皆も今朝のニュースで見たかもしれんけど、
変な伝染病が流行ってるらしいから人混みの多い所へは行かんようにな。」
若い先生は、クラスメイトに注意を喚起している。
小まめに喚起、手洗いうがいなどだ。
コウヤは頬をついてだるそうな顔をした。
今朝発表された新種の伝染病ってたいした事無いんだろ?
確か感染力が強いけれど、すぐ治るらしいじゃないか。
症状も風邪みたいなものらしいし気にすること無いだろ…
生徒達も皆同じような反応をしている。
それにしても、首都機能が麻痺した上、伝染病なんて日本は大変だな…
くせ毛の男の子は小さくため息をついた。
目線は窓際の席の、つんつん頭の少年へと移っていく。
爽やかなその男の子は、彼の親友、上杉謙信(うえすぎけんじ)だ。
毎回自己紹介の時、剣道をしている事を告げると、名前のせいで人々が騒ぐ。
実は、その事を彼は少し気にしていた。
そんな彼は、先日の事件に巻き込まれたにも関わらず以前と変わっていなかった。
ケンジに今朝電車で出会ったコウヤは、駅からの通学路で何も尋ねなかった。
うーん…
もしかして、ケンジも転生人なのか?
さっき聞いときゃよかったかな…
コウヤはくせ毛の頭をくしゃっとして悶々した。
朝のホームルームが終わって、子供達が包容力のあるミズカツの元に駆け寄っていった。
皆、以前の記憶はあるが、体が小さくなった事が不安なのだ。
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