creator of magic

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「ミズカツ先生!若返って奥さん喜んだでしょ?」 真っ先に飛び掛かって行ったのは、工藤清矢(くどうせいや)だ。 子供になっても、その整った風貌は変わらない。 お姉さん方のハートをわしづかみにしそうな無邪気な笑みを浮かべている。 「こらっ…工藤。 どうせまた下ネタの話なんやろ、確かに昨夜はモゴモゴ」 嬉しさと困惑がごちゃまぜになったような顔をする先生。 彼は、どうせなら昨日嫁も若返らせて欲しかったとモゴモゴ言っている。 抱き着いていたセイヤは、色黒の青年から一旦離れて静かになった。 「なぁ、先生。ヒロユキはどうなったんだ? ニュースで流れる映像はヒロユキじゃないよな!? なぁ、違うって言ってくれ。」 顔が曇った先生は何も言わない。 沈黙が教室を包む。 セイヤは目に涙を浮かべた。 「あいつはテロリストなんかじゃないよ。 ニュースがあいつをどんなに非難しても、俺は信じない。 なぁ、先生。 そうだろ…」 頬に透明な涙が一筋走る。 色黒の先生は、静かにセイヤを抱きしめた。 沢山の子供達に囲まれる彼は、聖人のようだった。 「あぁ、先生もあいつはそんな事しないって知っている。 例えどんな力があっても、あいつが誰かを傷付けるような事をするわけがない。 きっと裏で陰謀があったんだ。 ヒロユキを無理矢理操ったやつがいる。 そんな筋の通らんことは絶対許さん… 絶対なんとかしてやるから…」 そういって男は涙を流した。 暖かい光が彼等の背を照らす。 コウヤはその姿を遠くから眺めていた。 隣には梅、しぃ、そしてケンジがいる。 このクラスで、以前と少しも変化が無いのは俺等だけだ。 きっと、それは俺達が何か皆と違うからなのだろう… 現に、俺も梅も、人間離れしたことができる きっとこの二人も… コウヤは、俯いているケンジとしぃを見た。 「なぁ、今日の昼休み、弓道場前集合な。」 ぼそりと呟いたコウヤの声は、静かに彼等の心へと響いた。
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