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机に目線を泳がせながら、しぃはゆっくり話を始めた。
「うちは、スピリットっていうやつに話し掛けることができるみたいなの。
人は、彼等の声を聞く事はできるけど、彼等に話し掛ける事はできないらしいって…」
スピリット?
皆の顔に疑問の色が浮かんだ。
「ちょっと待って
スピリットって何なんだ?」
コウヤは机から身を乗り出した。
しぃは慌てて、膝の上の手をもじもじさせる。
「上手く言えんけど…
神様みたいな存在なんかな。
それで、うちはコンダクターっていう存在らしいの…
そうだ、今から皆に説明してくれるように頼んでみるね。」
しぃは静かに目を閉じた。
鼻が痛くなるほどの砂埃がコウヤ達の頬に吹き付けてきた。
…なんだか突拍子もない話だな
神様?
俺はそんな不確かなものは信じない
それでも、俺達の力は何かそのスピリットってやつと関係があるんだろうな
コウヤの緊張が皆にも伝染してゆく。
夏の眩しい光と静寂が日陰を包んだ。
一瞬、小さな音が耳の奥で鳴ったようなこそばゆい感覚がした。
それが合図だったかのように、茶髪の少女がにこりと微笑んだ。
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