creator of magic

7/13
前へ
/100ページ
次へ
(…はじめまして) 耳元で囁きかけられるように、突然声が聞こえた。 思っていたより優しい声だった。 しぃを除く三人の学生達は顔を見合わせる。 くせ毛の男の子は眉をひそめた。 …この声、聞いた事あるぞ 暴走トラックを止めた時だ 「もしかしてあの時の声はあんたなのか?」 コウヤは紙パックの牛乳を机にドンと置いて立ち上がった。 返事はない。 ふわふわした茶髪の女の子は困った顔をした。 しぃは通訳を試みる。 「コウヤ君。スピリットには話し掛けられないんだよ… うちから伝えてみるね。」 しぃは、コウヤ君の事を知ってるか、と空に向かって質問をした。 (コウヤ…知らないな。 しかし不思議とこの少年は守ってやりたくなる。) さっきの声とは違って荒々しい声だ。 何だ? スピリットって一人じゃないのか? 表情から疑問を読み取ったスピリットは語りはじめる。 今度は氷のように耳が痛くなる透き通った声だ。 (私達は皆そこに存在するだけ。 私達も生まれては死ぬループを繰り返している。 私は若いから、始めて人間と会話をしたわ。 会話ができる人間がいるなんて知らなかったの。) コウヤは眉をひそめた。 (あら… そんなに不機嫌そうな顔をしないで、そこのあなた。 あなたのためなら何でもしてあげるから。) その説明にコウヤは口を更にへの字にした。 何だそりゃ? 何か人間じゃない不思議生命体が存在して、しいだけがそいつの言葉を話せるってか? しかも何かこいつら俺をひいきしてねぇか? 何だ?守ってやるとか 何でもしてやるとか ちょっと気持ち悪い 「しぃ…わけわかんねぇ。 とりあえず何でしぃだけ話が通じるのか説明してくれないか。」 そう言ったコウヤは不機嫌そうに笑った。
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

151人が本棚に入れています
本棚に追加