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そんなに苦しそうに話す千尋は初めて見た。
冷たい人間だって言うけれど、そんな泣きそうな顔で話すのは心があったからだよね。
辛かったんだよね。
私は何度も首を横に振った。
「妹は自分が俺を呼んだからアイツが事故になったって思って、アイツにずっと罪悪感を感じてた。」
だから、あんな事を言ったんだ。
今なら納得出来る。
「あれから何人か惰性で付き合ったけど、いつもアイツの事が頭の端にあった。真剣に付き合えなかった。」
でも、と千尋は私の顔を覗き込む。
「朔は、一目惚れだったんだ。」
「…え?」
突然の告白。
私は全く展開に付いていけず、千尋を呆然と見つめた。
千尋はちょっと照れ臭そうに視線を逸らした。
「朔は、部活で怪我して筋トレしてた時期あっただろ?」
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