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こんな話、私が聞いても良いんだろうか?
でも千尋は私の背中を軽く撫でながら話を続けた。
「ある日、一緒に出掛けた後に妹から電話があって俺はアイツを置いて先に帰った。その後、アイツは事故に巻き込まれて意識不明のままになった。アイツの従姉妹の恭子とはその時に会った。恭子とアイツはすごく仲が良かったから。」
私は掛ける言葉もなく頷く。
「あれから3年、やっぱり目覚めなくてアイツの両親は決断したんだ。恭子はすごく苦しかったと思う。でも、俺はやっと解放されるって思ってしまった。」
最低だよな、と呟く。
私は何も言えず、必死に首を横に振った。
「情は湧いたけど、心の底から好きだった訳じゃなかったんだ。どこか惰性で付き合っていた。まぁ部活ばっかりであんまり一緒にいることもなかったし。」
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