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空からシトシトと雨が降って止まない。
ジットリとした空気が、
雨のあの何とも言えない匂いがそして、
それに混じった、
血生臭い匂いが鼻につーんと来る。
これでは鑑識捜査官も気が滅入るだろう。
その上、目の前には死体が転がっている。
「はぁ、今日はこれで何体目だ?」
現場を調べ写真を撮り証拠品を取りながら。
一人がため息混じりに呟き
「全部で十五体です。」
もう一人がすかさず答える
「そんな事聞いてるんじゃない!
一体、一日俺たちに
何体死体を片付けさせれば気が済むんだ!?」
一人目がその言葉に怒りを露にした。
「これだけ犯罪が起きていてもこの国の政府は知らんぷりか?」
死体を凝視する。
この死体はひどい殺され方をしている。
「それにまともな死体もない」
腹部には縦に大きく引き裂かれ、
中の内蔵はグチャグチャになるまで滅多刺しされ
顔も原型が無くなるほど
鈍器で殴打されていて、
一見誰か見分けすらつかないほど無残に潰れている。
辛うじて、医者である事だけが被害者の財布から出て来た医師免許から、
判明した。
おまけに両目が抉りだされている。
「ただ心臓を刺されて死にましたなら、
まだ可愛げもあるが
ここまでやるならもう異状だ」
溜め息をつき
「この国は一体どうなるんだよ全く。」
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