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「おい、流石にそんな発言は控えろ。もし誰かに聞かれでもしていたら、要らぬ不安を……沖田?」
ふと隣を見ると、沖田がある一点を凝視していた。
視線の先には小柄な少年。
黒い布を頭から被り、両手とも握りこぶしをしめて歩くその姿は、周りに比べて少し異質な印象を受ける。
「知り合いか?」
「ん、違うよ?でもさぁ、なんか違和感があるんだよねぇ…」
何が変なのかと聞かれたら上手く答えられない。が、妙に気になって仕方がない。
―――土方さんなんかには、【お前が変だから、普通の人がお前には変に見えるんだ】とか言われそうだなぁ。
そこまで考え、しかしそれを気にする風もなく、沖田は口元に笑みを携える。
そしてそのまま、少年の方へと駆け出して行ってしまった。
その様子を見て、斎藤はため息をつく。
―――十中八九、あの少年を暇潰しにでもしようとしてるんだろう。
もう一度盛大なため息をついてから、残された他の隊士に指示を出し、斎藤も沖田を追った。
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