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「ねえ!そこの黒布!ちょっと止まりなよ!」
一方、沖田は例の少年に追いついていた。
が、声を掛けても反応がない。
こちらを振り向かぬまま、のそのそと人混みを掻き分けて行ってしまう。
―――?
刹那、感じる違和感。
先程よりも、より強いもの。
そして、それ以上の…
焦燥感。
「何、わざと無視してるわけ?!止まれってば!」
何度目かもわからない呼び掛けに、依然として少年は無視。
沖田の声はだんだんと大きくなり、辺りにいる人が何事かと振り返る程になっていた。
中にはあからさまに嫌そうな顔をし、壬生狼や、と呟く人もいたが、沖田はまったく気にしない。
今は少年を追い掛けるのに忙しいのだ。
…絶対聞こえてるよね、これ。
「こうなったら意地でも捕まえてやる…」
特に少年が何かした訳でもないのに、ここまで気にする自分もどうかと思いながらも、少年を追う。
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